めっきり春の匂いがしてまいりました。(と言っておきながら日本には居ませんが)
別れの季節に出会いの季節。自衛隊においても3月下旬から4月上旬にかけては異動の季節です。
入隊を控えて緊張されているご親族、はたまたご本人の方もおられましょう。
なんの因果かこんな弱小ブログを訪れてくださった方だけに、自衛隊における処世術、出だしでつまづかない秘策をコッソリお伝えしてしまいましょう^^ラッキーですよ!!
※注意 陸、空自の隊員から内情を聞いてはいますが、私の経験した海自における経験を基にしています。また海自の場合でも、鵜呑みにする事はせずに自分で他にも調べてみる事をお勧めします。部隊長が違えば法律が違うのが自衛隊です。
1、入隊までに体を鍛えよう!! …⇦間違い!?!?
はい、間違いなんです。
自衛隊は体力勝負。同期に差をつけられないために、せめて人並みまで体力をつけないと…泳げないから練習しておかないと…懸垂ができないんだけど、不安だから…
全て必要ありません!!!!
自衛隊には様々な方が入隊します。中卒、院卒、元カラーギャング、高校卒業したてのピチピチ18歳に、社会の酸いも甘いも知った30間近のオジサン…当然、体力も千差万別です。彼らが全員クリアできるラインで目標が設定されていますし、指導教官がコツを丁寧に教えてくれるうえ、3〜4ヶ月の期間走り回ったり這いずり回ったり、たらふくメシを食らっていれば、黙っていても体力は向上します。贅肉も落ちて、1回もできなかった懸垂を軽々10回こなせるようになるのも普通です。
水泳の授業がほぼ無いらしい青森県出身の同期も多くいました。彼らは10メートルも泳げないのが普通だったのに、教育隊終了時には立派に50メートルを完泳し、センスのある者は水泳測定1級を取るほどまでに!!
むしろ、上がり幅を評価点とする自衛隊初等教育においては、最初はダメダメの方が最終評価が良かったりします。
最初からある程度泳げて水泳測定3級でスタートした新隊員が1級を取るよりも、全く泳げない級外者が2級を取る方が、上がり幅という意味で評価が良いのです。(しかし級外者は50メートルを泳げるようになるまで赤帽という烙印を押され、オシャレな赤い水泳帽子をプレゼントされ、特別教練を受ける日々。早く抜け出ないとチョト恥ずかしいかもよ!!)
よほど身体的に特徴があって握力が20KGも無いとか、膝を完全に曲げられないとか、そういう人は入隊前の身体検査で落ちているはずです。
要は、5体満足で健康な日本人であれば、誰でも入れてなんとかなってしまう。それが自衛隊です。奥さんが外国人でもね。さらに情報職種にも行けます(*´ω`*)
ミスをしたり生活態度が悪いと連帯責任で腕立て伏せですが、50回はともかく100回もできないものは仕方ないので、そこは班長も見ないフリをしてくれます^^;
ちなみに私の教育隊時代は、自衛隊出戻りの同期が3人も居たため、自衛隊生活のどこに気をつけるべきかを隊員間で常に共有していました。そのため班長が一々指導をしなくてもよく、拍子抜けするほど平穏に教育課程を終えました。
しかし時には半ば無理やりな理由をつけて腕立て伏せ等をやらされましたが、戦争という理不尽を理解するための愛の鞭でした。
それも、体罰を強制という事は問題があるため、「ちょっとお前ら体力余ってるなぁ!腕立てでもするか!!」といって、班長も一緒に腕立てをするというコンプライアンス重視といったら…
終わったら肩をよく回しておけとか、汗をかいたら下着を替えろとか体のケアをしろとか、過保護なほどに隊員の体調を気づかってくれます。
良い班長に恵まれたのか我々がお利口さんだったのかはわかりませんが、みなさんが思うほどに体育会系で理不尽といった事は無いと思います。
日大タックル然り甲子園然り、お遊びのくせに命をかけている非生産的な日本のスポーツ界の方がよっぽど時代錯誤で理不尽だと感じます。
国民の税金で隊員を育てないといけない以上、将来のある若者を潰すわけにはいけませんから!!
自衛隊もお遊びですって!?
そんな…!
まぁ。ね…
強いて注意点をあげるとすると、幅跳びやソフトボール投げはセンスが要求される種目であり、練習をしないと上達する事はありません。人と比べて明らかに劣るという方は練習しておいたほうがよろしいでしょう。同期が外出している間、自主練しなければいけない辛さを選ぶ必要は…無いですよね。
2、むしろオシャレさんが有利!!?
そうなんです、どういうわけか。
特に、入隊したばかりで右も左もわからない中で自分の時間を取るうえで、ファッショナブルである事は非常にアベレージとなります、何故か?
自衛官の基礎素養、服装威容を正す!!
これです。
まず入隊して最初に行うのは、支給された制服と作業服にビシッとアイロンをかけ、階級章を縫いつける事です。
階級章を縫い付ける場所もしっかり決まっており、ずれていたりしたらやり直しです。家庭科の教科書をもう一度引っ張り出し、玉止め、半返し縫い、波縫い、まつり縫いを復習しておきましょう。
イタリア人よろしくシルクの靴下を大事に補修しながら履いている伊達男であれば、平気の平左ですね(^。^)
アイロンもバカにはできません。
触ったら切れるぐらい…というとさすがに大袈裟ですが(^◇^;)、座っていても触り心地をしっかり感じるほどにピシッッッッ!!と線をつけなければ、プレスが甘ぁぁい!!字が小さすぎて読めなぁああい!!!
と指導されてしまいます。
特に海自の一般隊員(自衛官候補生、曹候補生)の場合、セーラー服の袖を谷折りで線をつけるんですが、これが難しい。
八戸基地隊のHPから拝借。
谷折りでプレス線をつけるためには、裏返して、裏地の上からアテをつけてアイロンをギュッと当てて、表を見て線がずれていたらまたやり直して…
縫い物には覚えがありましたが、これは少々手こずりました。
あとは、靴をピッカピカに磨く事も大事な、それでいて結構な時間を要求される作業です
幹部になると真っ白な靴まで磨かないといけないという…(海のみ)
多くの隊員が靴なんて磨いた事が無いため、最初は右往左往。
塗るだけでピカピカになるリキッドタイプのものも便利ですが、整列するまでにホコリがついたり砂を払ったりしたらそれだけでアウト。
しっかりとワックスを何重にも塗り重ねておいて、靴下で撫でるだけでいつでもピッカピカ、顔が映るぐらいに、が好ましいです。
偶然ネット上に良い写真があったので私のやり方で細かく説明すると、まず左の柔らかめのワックスをブラシにとって靴全体に伸ばし、乾いた布で吹き上げる。それを少なくとも3セット。これで深みのあるセクシーな黒色を定着させます。
その後真ん中の硬めのワックスを欲張らずに少しだけ布にとって(起毛した生地、フランネル等がベター)、全体に伸ばします。その時に水やアルコールを1〜2滴ほどチョンと靴につけておくと伸びが良いです。
乾くまで(5分ぐらい?)待ってから、使い古したパンティーストッキング等で磨き、余分なワックスをふき取ると同時に、ワックスの層をならします。この工程を10回以上繰り返します。
床に広げた新聞(靴墨汚れ防止)を眺めたり同期とおしゃべりしながら無心に、ひたすら騙されたと思ってKIWIワックスを塗り、伸ばし、拭き上げ、を繰り返しましょう。
欲張ってたくさんワックスを取ると、それだけでムラの無い美しい鏡面仕上げは叶いません。欲張らずに薄く、少しずつ。まるでラザニアの層を重ねるように。(良い例えが浮かばねぇ!)
完璧なワックス層が出来上がれば、多少擦ったり傷がついても、一拭きすればピカピカの状態を取り戻せます。整列の前にわざわざ靴墨を取り出して磨かなくても良いのです。週末の空いた時間を利用して集中ワックスをしておけば、多忙なウィークデイを少しでも余裕を持って過ごす事ができます。
陸自の場合は半長靴(編み上げのブーツ)も2足支給されるはずですから、より大変ですよ!!
今からちょっと出世払いで高い靴を買ってオシャレを楽しむと同時に、靴磨きを上達しておきましょう。ジョンロブやベルルッティといった一生物の靴を買っておいて育てていく楽しみは、ギターを奏でるような楽しさと、本物を知る喜びを与えてくれます。
アイロンも、自分はできるという方も侮るなかれ。一般社会におけるアイロンをかけるシチュエーションと一緒にしてはいけません。
教育隊ではアイロンは取り合いです。順番待ち必須です。
チンタラとアイロンをかけていては同期達から怒号が飛びますし、シワが付いていたりしたら班長に怒られてアイロンやり直しです。
スピーディに、要点を抑えたアイロンがけができるようになると、一般社会に出ても役に立ちます。
コツを言ってしまうと
細かい部分を先に
これだけ念頭に入れておけば良いです。
ワイシャツ、作業着の上衣の場合は襟まわり、袖周りを先にプレスします。
最も目につく背中部分や胸の部分を先にやってしまうと、細かい部分をプレスしている間に新たなシワができてしまうからです。当たり前の事ですけど。
当然、見られることのないスソの部分、ズボンの中に入れる部分はノータッチですよね(^_^;)
でもテンパっていると往往にして余計な事をやってしまうんです。
3、応用編
以上の事も一通り抑えていて、それでも不安だという方は、以下の事を前もって準備、覚えておくと教育隊生活を楽に過ごせます。
(全自衛隊共通)
入室要領(各幕によって多少の差異あり、参考程度に)
自衛隊体操(海の場合は海上自衛隊第1体操)←体操号令の役割が必ず回ってきます。前に出て見本を示すために、手順はもちろん、左右逆に(前にでるからね)スムーズに実施する練習をしておくとベター。
64式小銃の各部品名、分解結合手順←ピストン桿止め用ばねピンとか
(海自の場合)
手旗
もやい結び等、基本的な結索法
(物品編)
黒い手提げ鞄⇦外出の際は、リュックサック等はNG。黒い手提げであればまず問題無いはずです。これはなるべく大きくて使いやすいものを。
靴墨、靴ワックス、古いパンスト等、靴磨きセット⇦隊内の売店は高いし、最初の外出時に買い求めるのは時間のロスになるため。
シューキーパー⇦靴は2足支給されます。点検用に一足は綺麗なまま置いておくという方が居ますが、毎日同じ靴を履くと、すぐに痛みます。私の場合は甲の幅が広いためにシワが悪化してヒビにまで至ったりするので、靴の型崩れは致命的。初外出までは安物で済ませて、外出したらサイズの合った木製のちゃんとした物を買って靴を休ませてあげましょう。
靴の中敷⇦硬い短靴、半長靴を履いて走ったり長時間立っている事が多いです。ちょっと高くても、スポーツ用のゲル入りの物が望ましいです。消耗品のため、3足分ほど買っておいても損はありません。多少大きめでカットができる、サイズ調整のできるものを
洗濯糊(キーピング)、柔軟剤⇦洗濯の際に使用しておく事で、パリッと仕上がりつつ細かいシワがつかなくなる
洗濯ネット⇦洗濯機は複数人で一緒に回すため。前もって部隊側で揃えているかもしれないが、100均のもので充分なので買っておいて損はなし
下着を多めに⇦洗濯の時間に窮する事態に備えて。靴下は黒で膝下まであるもの(スネ毛が見えてはいけない)
シャツはU首で、襟の隙間から覗かないもの。丸首はNG。
海自の場合は真っ白のパンツ(夏服は白いため柄物のパンツだと透ける)、白無地のハンカチ
体育館での体育の場合は白靴下で統一です。これも。くるぶし丈はダメ!
激落ちくん⇦床に付いた靴跡を落とす時に使用。掃除の時間短縮に繋がる
モバイルバッテリー⇦携帯の充電場所は指定されているため、居室で充電しながら携帯をいじれる。
シャツクール、貼るホッカイロ⇦体温調節のため。いくら寒くても暑くても、課業中や整列中に自分だけ厚着、薄着といった事は許されません。特に地獄の蒸し暑い夜、長袖の作業着を着て巡検(掃除が正しく行われているか確認をする作業)の点検官として棒立ちしていた時、シャツクールのお陰で正気を保てたと言っても過言ではありません。
とりあえずこんなところでしょう。
日本の平和を守る自衛官のタマゴ諸君!
万全の備えのもと、快適な自衛隊生活をエンジョイだ!!