ベトナムの変な酒シリーズ 韓の国と越の国を塞ぐ壁

あえて親しみを込めて"変な"という言葉を使う事をお許し願いたい。

 

ベトナムにおける酒事情、ひいては韓国を引き合いに出し、日本と世界の酒文化を掘り下げていこうという、この試み。

仕事で酒を扱った経験は多少ありますが、飲み手としては初歩も初歩。酒量は缶ビール一本で充分というエコロジーさであり、ほろ酔いから泥酔状態までのデッドラインが非常にせまく、ちょっと間違えるとすぐにトイレ直行という、ピーキーすぎてお前には無理だよというマシン性能です。

好きなお酒は安くて旨い酒。

 

ハイボールブームはなぜ引き起こされたのか?

酒造メーカーの裏の役目とは??

焼酎大国薩摩と河内菌の謎とは?

 

 

・・・そんな重いテーマは置いておいて、なによりお酒です。造りての魂が込められた酒に、良いも悪いも無い。楽しんで飲もうじゃありませんか。このブログも、タカラカンチューハイでも飲みながら「ふーん、そうかもな」ぐらいに読んでいただけたら幸いです。

 

 

本日の一杯はコチラになります

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豪華箱付き!

なんとも景気の良い名前が冠された、べトナミーズウィスキー、WALL STREET。750ml、39度。160,000ドン(800円弱)。 後のシリーズで紹介する予定の安酒達に比べたら、ベトナムでは高級品の部類に入るはず。果たしてブラックニッカクリアに金額的に見合うだろうか。期待はしてないけど。

 

いわゆるワールドウィスキーとでもいうべきか、海外からバルクウィスキーを仕入れて国内で加水などし、瓶詰をして売るという、日本でも行われている方式。これは見る限りベトナム産のスピリッツも入っている様子。

余談ですが、所変わってお隣の韓国は現在ウィスキー原液は作っておらず、ウィスキー蒸留所はございません。

原酒不足がさけばれているなか、ニッカでも行われている手法です。許してあげましょう。

 

しかし、富士山や倉吉といった、いかにもジャパニーズと思わせておいて、輸入ウィスキーを薄めて高付加価値で売るのは、チト感心できませんな。

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誰がいったか、島根の恥さらし

デザインもどこかで見たような感じだなぁ。きのせいか

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日本では2000円強、韓国の免税店では5000円で売ってました…日本と韓国の区別が付かない外国人が、祖国に持ち帰ってジャパニーズウィスキーダヨー!YEAH!!とかやるのだろうか。悲しい。

倉吉に至っては、蒸溜設備も無いのにdistilleryを名乗っていたというのだから、酒の神様も苦笑い。

 

 

さてこのベトナムウイスキー、飲んでみようと思ったところ、なんと蓋が空かない!!!!

いわゆるスクリューキャップの下の部分、本来はココが止まったまま、上の部分を回すことでカリカリと音が鳴り、蓋が外れるのですが。

どういうわけか下の部分も蓋と一緒に回ってしまい、まったくもって開かないのである。

悪戦苦闘すること数分していると、なんとまだ蓋が空いていないのに、中身が染み出してきているではないか!!!

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証拠画像

なんなんだよふざけんなよベトナム、キャップすら満足に作れないのかよとため息をついていると、なんとか開く。すると

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こんなの初めて!

 

スクリューが浅ああああああい!!!! 字が小さくて読めなぁぁぁあああい!!!

ザンギエフもガッカリの、スクリューキャップのねじ回り(?)が、どう見ても2周もしていないのである。

しかも作りが甘いので、蓋が完全に締まらない。そりゃそうだ、新品からして漏れてるもの。ベトナム人にきいたところ、この程度の蓋は昔よくあったとのこと…

箱付きウィスキーにそりゃあ無いだろう(;´Д`)

 

おいおいマジかよ...返品も効かないだろうしなぁ。貴重なベトナムドンが飛んで行ったよと思いながら、とりあえずストレートで飲む。

正直いって不味い。

なんだこれは。しかも懐かしい不味さだ。これはどこかで...

 

思案を巡らし、少ない人生経験からこの味の記憶を呼び起こす。

そうだ、思い出した、あれは韓国だ。

 

カッコつけてボトルを入れた居酒屋で、ナイトクラブで、知り合いが経営するバーで、飲めもしないウィスキーを飲んだ時の、あの不愉快な味である。

 

とにかくアルコールの匂いしかせず、眉をしかめたくなる味わい。唐突に、留学時代がフラッシュバックした。国産はもちろん、ジャックダニエルまで不味いという、不思議な国なのでした。ニセモノ注意。

しかしあれから幾分成長したわたくし。

 

そもそもウイスキーはストレートなど誰が決めたのだ。加水したり氷をいれたりしたらなんとか飲めてしまうのです。いわんやベトナミーズウイスキーにおいてをや。

特に砂糖とレモンを入れて、なんちゃってコリンズにするとなかなかうまいものである。

タバコと共に携え外に出て、甘ったるく爽やかな冷たい酒が、気だるく暑い湿ったホーチミンの風に、よく似合うのである。

 

 

開栓から約一週間。空気と馴染んで味が変わったかな~とおもい、ブログをしたためるためにも、正確にテイスティング(笑)をしてみました。

 

まずは同量の水を足してトワイスアップにして飲んでみる。

空けてから数日経って、アルコールのトゲがおさまったのか、いきなりストレートで飲んだ初日の記憶が強かったのか、こんなに甘かったっけ??という印象。ほどよいスモーキーさも感じて、あとから酸味がほんのりと追いかける感じ。スコッチ使用は嘘ではないようだ。

 

そこへ氷を足してハーフロックにすると、甘さがおさえられて、スパイシーな余韻が残る。氷の有無でガラッと顔を変えるのがウィスキーの醍醐味だなどと知った風な口をききたくなりますな。安酒も味わってみるものだ。

 

ランブータンで口直しをしてチェイサー(水)で口中を洗い、そこへ満を持してストレートで飲んでみる。

香りはまさにエタノールモルトもピートもクソもない。

ストレートではやはりキックもつよく、スモーキーというよりは只々沸きあがってくるアルコールという後味。いくらグラスをくるくるさせても香りが開くという感覚は感じられない。

それでも、前述した韓国のまずいウィスキーよりは飲めるな、という印象でした。

 

そこへ、飲み残した4割ほど気の抜けた炭酸水を1:3の割合で入れて、氷なしハイボールにしてみる

これは中々うまい。飲みやすく、甘みが強い。香りも、ウィスキーを飲んでいるという実感はちゃんとある(重要)

ネットでテイスティングノートを見た感じだと...

15年以上熟成されたスコッチウィスキーとベトナムウォッカを絶妙にブレンド

ほのかな甘みと豊かな香り。

蜂蜜、バタースカッチ、フルーツ。ほのかなオーク樽の香りとスモーキーなアロマ、甘い余韻...

 

しかし、いくらなんでも甘すぎないか?

ふと、そういえばベトナムの酒は…

と思って成分表示をみると

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なんじゃぁ570って!

しっかりカラメル入ってるゥゥゥー!

 

そう、ベトナム産ウィスキーは往々にしてカラメルを入れたり砂糖を入れたりするのでした。

裏づけるように、日本の酒を売っている時に焼酎売り場でベトナム人に「これは塩が入ってますか?」と聞かれたこと。その時は質問の意味すらわからなかったが、強い酒には混ぜ物が常識なのだろうか。それにしても塩が入った酒があんのかベトナムは!?!? これからの期待に足がすくみますな💦

このカラメルが色付けのためにある甘くないやつ(そんなのあんのか?)の可能性もありますが、砂糖由来の舌と喉に絡みつく甘みは、ちょっと人を選ぶかもしれません。

 

でもせっかく買った酒、工夫次第でいくらでもおいしく飲むことができるんです。最近のマイブームはクラッシュアイスにレモンピールをふり、ウォールストリート・ミスト(名前だけはやたらカッコいい)にして飲むのが良い感じ。新・ベトナムの壁の霧   である。

 

もともと完璧な下戸だった私でもこれですから、酒量は増えずとも、新たな喜びを見つけることは、はかない人生への意味を見出せる。うまい酒にであえた悦びは、一生の友を出会ったようなもの、と誰かが言っていた気がする。

 

苦いし臭いし、保健室の匂いしかしねぇ、こんなモノを喜んで飲んでる韓国人は人間じゃねぇとつねづね思っていた、あの緑瓶の韓国焼酎も、いまならきっと複雑な味わいがするはずである。

支配、民主化、セマウル運動...多くの人々の悲喜こもごもが溶け出した酒である。

 

人生が苦ければ、焼酎は甘く感じる。

焼酎が苦いのならば、まだまだお前は甘ちゃんなのだ。

韓国では、焼酎にまつわる格言にこんな物があります。

 

さすがに、輸出向けの韓国焼酎(特にチャミ〇ル)にはキシリトールが入っているため、いくらなんでも飲めたものじゃあない。毒です。みなさんも新大久保に出かけた際は、エクスポートではない、本物のチャミスルを飲んでみてくださいな。

 

ベトナム酒もこれから暑くなってくる予感がします。

むしろ私がアツくさせる!!!

それぐらいの意気込みをみせつつ、二日酔いの頭痛におびえつつ、今日も元自衛官は眠りにつくのであった🛏🐈💨